2026.10.09 首都圏・私工大教務連絡会 10 月例会 初任者研修
DP って何のためにあるの?
新任教務担当者のための教学アセスメント・データ活用のはじめの一歩
DP(卒業認定・学位授与の方針)は何のためにあるのか。3 つのポリシーと認証評価の流れ、1 つの授業と DP のつながり、DP の達成の確かめ方、それを支えるデータまでを、クイズとワークを交えて扱いました。
概要
| 日時 | 2026 年 10 月 9 日(金)15:30〜17:00 |
|---|---|
| 会 | 首都圏・私工大教務連絡会 10 月例会 初任者研修 |
| 対象 | 加盟大学の教務系部署の初任者(約 30 名、12 大学) |
| 形式 | 講演 60 分 + グループワーク 30 分。参加者は「重要だと思う授業科目のシラバス」を 1 部持参 |
教務の仕事に就いて間もない方に向けて、「DP は何のためにあるのか」を、1 つの授業のシラバスから考える研修です。講演の途中でスマホからの投票を 5 回はさみ、後半は持ち寄ったシラバスを他大学の人と見せ合うワークにしました。
資料
- Web
当日の内容とは少し違います。公開にあたって、特定の大学の内部の事例を扱ったスライド 3 枚、発表者ノート、投票用の QR コードを省いています。当日のスライドは 48 枚、この公開版は 45 枚です。
到達目標
この研修そのものにもシラバスを作り、到達目標を知識・スキル・態度に分けて、どれも行動として確かめられる形で書きました。研修の中で「シラバスの到達目標はこう書く」という例として見てもらうためです。
| 区分 | 到達目標 |
|---|---|
| 知識 | DP・CP・AP の役割と関係を、自分の大学の DP を例に説明できる。 |
| スキル | 持参したシラバスの到達目標・評価方法・DP 対応がつながっているかを判断し、根拠を挙げられる。 |
| スキル(思考・判断) | 1 科目の成績だけでは DP の達成を示しきれない理由を述べ、別の確かめ方を 1 つ提案できる。 |
| 態度 | 他大学のシラバスと比べて、自分の大学で確かめたいことを 1 つ決め、誰に何を聞くかを書ける。 |
構成
講演 60 分(15:30〜16:30)のあと、5 人ずつの班でワーク 30 分(16:30〜17:00)。班はどれも別々の大学の人で組みました。
| 導入 | 今日の到達目標と流れ。参加大学の DP を当てるクイズ |
|---|---|
| Part 1 なぜ今 DP が問われるのか | DP とは何か、3 つのポリシー、答申と認証評価の歴史、学部ごとの「新たな評価」 |
| Part 2 DP と 1 つの授業をつなぐ | カリキュラム・マップ、ナンバリング、シラバスの DP 対応欄 |
| Part 3 DP の達成をどう確かめるか | 積み上げ式の限界、直接評価と間接評価、量的評価と質的評価 |
| Part 4 確かめるためにデータを整える | 4 年間で捉える、データ基盤、シラバスもデータ |
| ワーク STEP 1(10 分) | 自己紹介と、持ってきたシラバスを選んだ理由 |
| ワーク STEP 2(10 分) | シラバスと DP・CP のつながりを説明し合う |
| ワーク STEP 3(7 分) | その科目の成績だけで DP を示せるか。ほかの確かめ方を班で 1 つ出す |
| ワーク STEP 4(3 分) | 全体で共有し、自分の大学に持ち帰ることを書く |
会場の投票
約 10 分ごとに問いを出し、班で 30 秒相談してからスマホで投票してもらいました。結果はその場でスクリーンに映しています。名前は集めていません。使った仕組みは道具のページで紹介しています。
はじめに 自分の大学の DP、1 つでも言えますか?
- 言える2 票
- なんとなく11 票
- 言えない17 票
Q2 2030 年度からの「新たな評価」(案)。1 つの学部が最低段階(要是正)だったら、どうなる?
- その学部だけが再審査になる6 票
- 大学全体が「要是正」になる(正解)22 票
- 学部名が公表されるだけ2 票
- 大学全体の評価には影響しない0 票
Q3 シラバスの DP 対応欄。DP ごとの達成度を、成績データから計算できる書き方はどれ?
- 関連する DP に ○ をつける7 票
- 寄与の割合を書く(DP1 60%、DP3 40%)(正解)16 票
- 文章で説明する4 票
- どの書き方でも計算できる2 票
Q4 DP の達成を確かめる方法のうち、「直接評価」はどれ?
- GPA4 票
- 学生調査の「身についたと思う」11 票
- 卒業研究をルーブリックで評価する(正解)10 票
- 単位の修得状況6 票
Q5 4 年間の成長を見たい。同じ学生で「1 年次と 4 年次」を比べにくいのはどれ?
- 1・4 年次の同じ外部テスト2 票
- 毎年同じ設問で行う学生調査2 票
- 学年ごとの GPA(正解)26 票
- 同じルーブリックで見た入学時と卒業時の成果物0 票
自分の大学の DP を「言える」は 30 人中 2 人でした。直接評価を選ぶ問い(Q4)は、学生調査を選んだ人が最も多く、「学生が身についたと答えた」ことと「身についたことを確かめた」ことの違いが、この研修の要の 1 つになりました。
参加者の振り返り(まとめ)
最後にスマホから匿名で「いちばん持ち帰りたいこと」を送ってもらい、25 件が届きました。原文は載せず、主な内容を多かった順にまとめています。
自分の大学のシラバスを見直す
最も多かったのは、持ってきたシラバスに DP や CP との対応、カリキュラムの中での位置づけが書かれていなかった、という気づきでした。学外向けと学内向けでシラバスの表示が違う可能性もあり、まず学内版で確かめたいという声もありました。
DP への寄与を割合で示す書き方
DP 対応欄に寄与の割合を書く他大学の例に、関心が集まりました。割合をどう決めているのか、学部や教員がどんな温度感で話し合っているのかを聞いてみたい、という声もありました。
大学ごとの違いが見えた
シラバスの形式、詳しさ、DP との関連の示し方が大学ごとに大きく違い、大学の特色は DP だけでなくシラバスの書き方にも出る、という感想が複数ありました。
3 つのポリシーを一続きで捉える
DP から CP、AP の順に考えること、学生ポータルで達成度を示している理由がつながった、日々の業務の中でも教育の流れを意識したい、という声がありました。
達成を確かめる方法とデータ
直接評価と間接評価、量的評価と質的評価を 4 つの象限で整理したことで分かりやすくなった、測りたいことに応じて方法を選ぶにはつながりのあるデータ管理が先に要る、という感想がありました。
持ち帰って広げる
課の中で共有する、参加していない同僚に伝える、学科ごとの違いを俯瞰する、全学で合意を取りながら変えていく、といった次の行動が挙がりました。